「自分の気持ちや頭のなかにある思考を、ノートに書き出すのがいい」
と、割といろんな場所でさまざまな人が言っているのを、聞いたことがあるのではないでしょうか。
では実際のところ、思考をノートに書き出すことの、何が「良い」のだろう?
今回は「ノートに書き出すこと」によって得られるものについて、お届けします。
思考をノートに書き出すことによる効果
さっそく、結論から。
思考をノートに書き出すことによって「自分の乗りこなし方」がわかるようになると思います。
「自分の乗りこなし方」というのは、どう生きれば心地よいか、どんなふうに自分を活かせば無理がないか、ということ。
心地よく生きること、無理なく生きることの大前提として、自分を知っていることが重要です。
自分には、どんな性質や特徴があるのか。
それらを知るために、ノートに思考を書き出すことが、手段として効果的だと思うのです。
ノートに書き出すことのメリット
ではなぜ、自分の思考や感情をノートに書くことで「自分の乗りこなし方」がわかるのか。
そのポイントを、以下の3つにまとめてみました。
自分を客観的に見られるようになる
まず、自分の思考や感情を「言葉にする」というのは、自分の輪郭を捉える作業だと思います。
自分は何をどう感じていて、それをどう受け止め、どんなふうに認識したのか。
「それって書き出さなくても考えればわかることじゃない?」
と思うかもしれませんが、頭の中でぐるぐる考えているだけだと、実は浮かんだ気持ちを脳内にばーっと広げているだけで、その先の「分析」まで至らなかったりします。
でも、言葉に落とし込んで紙に書き出すことで、思考や感情を自分から切り離すことができる。
それでようやく、並べたり、整理したり、優先順位をつけたりできるようになります。
さらに、頭のなかに浮かべていただけだとなかなか気づけないような感情・思考の類似性に気づいたり、ねじれに気づいたりすることもできます。
つまり、自分を客観的に見られるようになることが、書き出すことの大きなメリットです。
冷静に「自分」と対話できる
ノートに書き出した言葉たちは、自分の思考でありながら、物理的に対峙できる相手にもなります。
書き出された「自分(の言葉)」を、自分自身で眺められるようになりますからね。
ということは、自分と「自分(の言葉)」が、面と向かって対話できるようになるということでもあります。
対話ができるようになると、頭のなかでひとりでぐるぐると考えるよりも、より冷静に自分の声を聴けるようになるはず。
目の前に書き出されたこの「自分」は、なぜそう考えたんだろう?と、自分を別の目線で見る視点が生まれるからです。
自分の声を聴けるようになることは、自分にとって大切なことに気づくチャンス。
そして、自分にとって大切なことをちゃんと大事にするには、どうすればいいんだろうと考えられるようにもなっていくのです。
書き留めておくことは、これからの自分の糧にもなる
ノートに書くことのメリットには、「大事だと感じたことを忘れないように書き留めておける」という点もあります。
自分にとって大切なことに気づいて、しばらくは意識したとしても、忙しい日々に流されているうちに、また忘れてしまうことだってあります。
でも、また迷ったら、このノートのページに戻ってくればいい。
何度でも見返せる。それが、ノートに書き出すことの大きな利点です。
自分の言葉を、これからの自分へと届けられること。
これからの自分が、自分を大切にしながら生きられるように。
ノートに書き出すことを続けていたら、自分の乗りこなし方がわかるようになってきた
思考や感情をノートに書き出すという習慣を続けて、もう10年になります。
自分はどういうときに、どんな感情になりやすくて、どういうことを苦しいと感じるのか。
長らく書き続けていれば、その傾向もだいぶわかってくるものです。
もちろん100%自分を乗りこなせているとは思っていないのですが(上手くいかなくて落ち込むこともあります)、それでもノートに書く習慣を持つ以前の自分よりは、上手く乗りこなせているように感じます。
自分が得意なこと、苦手なこと、心地よいこと、心地よくないこと。
ノートを通した自分と「自分」の対話によって、自分の乗りこなし方もだいぶ習得しました。
それと「ノートに思考や感情を書き出す」というと、これから始めようとする方は、「きれいに書かなきゃ」とか「日記のように毎日書こう」と感じるかもしれませんが、そんな必要はまったくありません。
「頭のなかがモヤモヤするな」と思ったときだけでもOKですし、浮かんできた感情をただ箇条書きするような、時には怒りや悲しみなどの強い感情を殴り書きするようなことでも良いのです(わたしもよくやってます)。
感情の安全な発散場所として。
そして、自分との対話の時間として。
ノートに書き出す時間を、日々のなかに取り入れてみてもらえたら嬉しいです。