User interview|「人からどう思われるか」を手放して、自分の人生を取り戻す。【岩井幸奈さん】

じぶんジカンのノートを使っていただいている方の、人生の波やその時々で悩み考えてきたことを伺うシリーズ「じぶんジカンな人々」。

第一回は、東京都国立市でチャイ屋さん『ツカノマチャイ』を営む岩井幸奈さんにお話を伺いました。

岩井さんがじぶんジカンの『自己分析ノート』を手に取ってくれたのは、2018年のこと。

どんなことに悩んで「やりたいことを見つける」がテーマの『自己分析ノート』を手に取ってくれたのか、またそこで考えたことや、今営んでいるチャイ屋さんを開くに至るまでのことを教えていただきました。

【Profile】岩井幸奈さん
1996年・福島県生まれ。2020年に「CHAI STANDスパイスアップ」としてチャイを淹れる活動をスタートし、間借りでのチャイスタンドの営業やワークショップなどを行う。2023年9月にチャイと休息のブランド「ツカノマチャイ」としてリニューアル。ブランド運営のほか、シェアスペースの運営等、東京都国立市を拠点に活動。

もくじ

新卒1年目、会社でうまくいかなくなって、心が辛かった日々

「大学卒業後に飲食店で働き始めたのですが、仕事がなかなか上手くいかず、また忙しくて休む時間がなかったり、職場の人間関係でも辛いことが続いたりして、心が病んでしまって。

これはもう無理だなあと思って、働き始めてから半年後には、仕事を辞めることにしたんです。」

新卒ですぐに働けなくなってしまったことに対して、自分を責めたという岩井さん。

「これからどうすれば良いんだろう」と考えたときに、じぶんジカンの『自己分析ノート』を見つけて、手に取ってくれたそう。

「大学時代は教師を目指して教員免許も取ったのですが、教育実習で自分のやりたいこととの違いを感じ、教師にはなりませんでした。

また、新卒で働き始めた頃は、ゆくゆくはWebデザイナーになりたいと思って仕事とスクール通学を両立していたのですが、それも心の調子を崩したことで挫折してしまって……

仕事も上手くいかず、挑戦していたこともやり遂げられず、『これからどうしよう?』と思っていた時に、ノートと出逢いました。」

当時書き出したノート

「ノートを書いたことで、人からどう思われているかを気にせずに、とりあえず自分が今やってみたいことや気になることを、好奇心のままにやってみようと思いました。

例えば『シェアハウスに住んでみたい』とノートに書き出していたので、さっそく次の月ぐらいに入居してみたり。」

ノートの中に出てきた “やってみたいこと” を、とりあえずやってみる。

とてもシンプルなことだけど、これまで人からどう思われるか、世間一般ではどうなのかを気にして生きてきたという岩井さんには、新しい視点だったそう。

「自分の “やってみたい” に従ってシェアハウスに住んだ結果、これまでの日々では出会わなかったような人達といっしょに暮らしたり、いろんな価値観に触れられたりして、それまで自分に見えていたのは広い世の中のほんの一部だったんだと気がつきました。色々な生き方があって当たり前なんだな、と腑に落ちたというか。

それまで「人からどう思われるか」や「世間体」を気にしてしまいがちでしたが、その思考からも少しずつ解放されていったように思います。

仕事に関しても、少しでも気になる分野があれば、アルバイトでいろいろと試してみました。猫が好きだから猫カフェで働いてみたり、OLっぽい仕事もしてみたかったので会社の事務職をしたり、コミュニティ運営に興味を持ったのでシェアハウスの運営に携わったり。

ちょっとでも気になることがあれば、とりあえず試してみることを大事にしました。」

心向くままに「やってみたい」を実践するなかで、チャイと出逢う

チャイとの出逢いも、心向くままにやってみたいことに取り組む日々の中にあった。

「心の向くままに日々を過ごす中で、チャイ屋さん巡りをするようになりました。そのうち自分好みのチャイをつくってみたくなり、自分でも淹れるようになったんです。」

そうして最初の会社を辞めてから1年後、岩井さんは初めて自分で淹れたチャイをお客様に振る舞う機会を得た。

「住んでいたシェアハウスで開かれたイベントで、チャイを淹れることになりました。

そのイベントでのチャイの反響がとても良くて、喜んでくれている人達の顔を見て『チャイで喜んでもらえることが、これまでで一番嬉しいかも……!』と気づいたんです。

その時のお客さんから『お店やったら?』とも言ってもらって、初めてそういう選択肢もあるのだと思いました。ただ、当時は自分にお店ができるなんて思ってもいなかったですけどね。」

自分がお店を開くなんて考えてもいなかった岩井さんですが、ひょんなきっかけから、間借りのお店を始めることに。

「チャイを振る舞ったイベントの参加者にお菓子づくりをしている子がいて、その子から『間借りでお店を出すのだけど、一緒に出店しませんか?』とお誘いをもらったんです。せっかくの機会ですし、間借りなら気軽に始められそうだと思ったので、挑戦してみることにしました。」

そうして2020年4月、週に1日のカフェをOPENする。

「東京・小平市にあるシェアキッチンを借りて、週に1日の “お菓子とチャイのカフェ” をOPENしました。

そこでの経験を踏まえて、その半年後からは国立市の今の場所でも、週に1日のチャイ屋さんの営業を始めました。

ここから半年間は2店舗、どちらも週に1日ずつ営業していましたね。」

週2日のチャイ屋さん以外に、生計を立てるためのアルバイトも続けていた。

当時はまだ「あくまでチャイは趣味の延長だった」とのことで、楽しく続けられれば十分で「これを生業にしたい」という気持ちはあまりなかったという。

「このままでいいのかな……?」改めて、自分の気持ちを見つめ直して

チャイ屋さんを始めて2年半が経った頃、「このままの生活でいいのだろうか」と思うようになる。

「このまま趣味の延長のチャイ屋さんと、いろんなアルバイトを掛け持ちする生活で良いのだろうか、と思い始めたんです。

というのも、チャイ屋さんを始めてから今までの間に結婚をして、これから子どもも欲しいし……と思ったときに、家庭との両立を考えると、今やっていることを全部続けていくのは難しいと感じました。

就職してひとつの仕事に絞った方が良いだろうか……とも悩んだのですが、でもやっぱりチャイ屋さんを続けたいという気持ちが強くて。

そこで、チャイ屋さんが自分にとっての “やりたいこと” なのだと改めて実感しました。」

「もう一度自分のこれからを考えるにあたって、ノートに自分の頭の中を書き出したり、人に話を聞いてもらったりして深掘りしました。

その中で自分の想いとして『いつかはチャイ屋さんを生業にできたらな』とも思い始めて、ブランドをリニューアルし、本腰を入れて運営することに決めました。」

そして2023年9月にブランドをリニューアルし、今の「ツカノマチャイ」として新たなスタートを切る。

「ツカノマチャイは “休息” をテーマにしていて。忙しい日々の中でも、ほっこりと甘いチャイを飲みながら、束の間の休息を持ってもらえたらいいなと思っています。

自分自身も働きすぎで心を病んだり体を壊したりした経験があるので、休む時間の大切さを感じています。

頑張りすぎちゃう人に、チャイを通して『ちょっと休けいしてみませんか?』と伝えたいし、その休息の時間が自分に目を向けるひとときになったら良いな。」

現在は週に1日「ツカノマチャイ」をOPENし、それ以外の日ではツカノマチャイでも利用しているシェアスペースの運営の仕事をしている。

「ツカノマチャイ以外のお仕事でいうと、シェアスペース『富士見台トンネル』の運営等に携わっています。場づくりやコミュニティ運営にもともと興味があったので、そちらもすごく楽しいです。とても健やかに働けていて、良いバランスだなあと感じます。」

もともとは人の目を気にして自分を抑えることが多かったという岩井さん。今はどうですか?と問いかけると、こんな返事が。

「人からどう思われるかについては、今ではあまり考えなくなりました。“自分はどうしたいのか” や “心から納得感を持ってやれているか” を大切にしています

自分が外からどう見えるか/人からどう思われるかは、自分ではなく見る人側の課題だから、わたしがいくら考えても仕方がないよなぁと思えるようになりました。

それと、自分の “やってみたいこと” に正直にいるために、やってみたい気持ちを自分の外に出してみることを意識しています。ノートに書いてみたり、人に話してみたり。そうすることで、それは本心なのか、なぜそう思ったのか、自分の気持ちを確認できるような気がします。

また外に出すメリットはもうひとつあって、自分と似た価値観を持っている人や、活動を応援してくれる人と繋がれたりするんです。そこから生まれる人間関係も、”やってみたいこと” に正直で居続けるための心の支えになっています。」

岩井さんとツカノマチャイのこれからについても、聞いてみた。

「ツカノマチャイを、これからももっと育てていきたいなと思っています。いつかはツカノマチャイを生業にできたら良いなと思っていますし、間借りではなく “自分のお店” も持ってみたいという気持ちも芽生えました。

より多くの “頑張り屋さん” な方達に、チャイを通して “休息” をお届けしていきたいです。」

うまくいかなくて辛かった “あの頃の自分” に「逃げても大丈夫」と伝えたい

さいごに。

仕事や職場での関係がうまくいかず、心が辛くなってしまった新卒1年目の岩井さんや、同じような状況にいる方にもし何か伝えるとしたら、逃げても大丈夫、と伝えたいですねと岩井さんは言う。

「現状が苦しかったり辛かったりして、行き詰まってしまったなら、そこから逃げたって良いと思うんです。実際にわたし自身は、一度逃げ出したことで自分の人生を取り戻せた気がします。

今いる環境がすべてではないし、それまで『世の中の常識だ』と信じていたものも、一度外に出てみたら『いろんな場所で、それぞれの常識があるんだ』ということもわかります。

仕事を辞めたり、環境を変えたりするのには勇気が必要ですが、せっかくの自分の人生なので、逃げたり立ち止まったりしていいんだよ、と伝えたいです。」


岩井さんが取り組んだ『自己分析ノート』

やりたいことを見つけるための一冊

岩井さんは『自己分析ノート』を書き進めるなかで、自分にとって大切なものが見えてきたそう。

「『自己分析ノート』に取り組んで、直接的に「チャイ屋さんをやりたい」というイメージが出てきたわけではないけれど、自分にとって大切なことがわかり、それに従って進んでいくなかで、自分が進みたい道がわかったのだと思います。」

『自己分析ノート』で印象に残っているページ

「印象に残っているのは、”時間を忘れて夢中になったこと” と “充実していたなと感じる時期” です。実は、どちらのページも、思ったよりも全然書けなかったんです……!

いろいろ挑戦したり、忙しく過ごしてきたのに、これまで心の底から夢中になったことや、充実していたと感じる時間を過ごしてこなかったんだな……と落ち込みましたが、逆に言えば「これからはそこを大事にしよう」と思えました。

だからこそこれからは、やってみたいこと、気になることに、どんどん取り組んでいこうと考えました。

※ノートは2018年当時のデザインなので現在販売中の見た目とは異なりますが、中身は今も昔も変わりません。

現在販売中のデザインの『自己分析ノート』

「やりたいことを見つける」がテーマの自己分析ノート

厳選された21の質問を収録した、30ページ&A5サイズのリングノートです。

自分の本音を聴き、わくわくするこれからをつくるための時間をお届けできますように。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

記事をシェアする
もくじ