こんにちは。じぶんジカンの岡本です。
月に1回、岡本が「じぶんジカンユーザーさんにおすすめしたい本」をご紹介していくコラム。
今回はクスッと笑えるユーモアたっぷりの本を3冊、選んでみました。
暑い夏に難しい本を読むのは、案外難しかったりしますので、頭をリラックスさせるようなユーモア溢れる本を手に取って、夏の読書時間を過ごしてみるのも、おすすめです。
【今回ご紹介する3冊】
1)くっすん大黒(町田康)
2)電球交換士の憂鬱(吉田篤弘)
3)美女と野球(リリー・フランキー)
とにかく笑える、文学作品の枠を超えた「しょうもなさ」満点の1冊
最初にご紹介するのは絶妙なバランスのもとに生まれる、笑いが詰まった1冊。
全ての災いのもとは、大黒様の置物から
自堕落な生活を送っていた主人公の元に置いてあった、大黒様の置物。
これを捨てようとしたことをきっかけに、主人公の身に様々な悲劇が。
大黒様と主人公、そして悲劇のなんとも言えないしょうもなさのバランスが絶妙で、ついつい声を出して笑ってしまいます。独特な文体もなんだかクセになる、まさに抱腹絶倒の小説です。
とにかく頭をやすめたい、そんなときの読書に最適
メッセージ性は少なく、シンプルに笑いたい、楽しい時間を過ごしたいなというときに、読みたい1冊です。
いつも読了後は「こんなに時間が過ぎていたんだ」と感じるほど、思わずのめり込んでしまう本です。
内弁慶な主人公になぜか自分を重ねてしまうのが、この作品の魅力
主人公のキャラクターがとても好きで、結構共感してしまいます。
気持ちの中では世間に批判的で斜に構えている一方で、行動は小心者で周囲をやたらと気にしてしまう。内弁慶な感じが、人間臭くて良いなぁと思います。
主人公のキャラクターを最大限に引き出しているのは、「大黒様」をはじめとした強烈な個性の登場人物や、著者の町田さんの文体です。
偽物と本物、無限と有限、古いものと新しいものを巡る、不思議な小説
次は「謎」と「ユーモア」が入り混じる、洒脱なユーモア小説です。
色気を感じる、まさに「大人の」ユーモア小説
職業、電球交換士。主人公の十文字扉は、LEDが普及し電球交換の需要が無くなる中、交換する仕事を専門に続けています。
実は彼には電球に関する「秘密」があり……。そんな彼の身に起こる不思議な事件と、個性的な人々の物語が重なっていきます。
著者の吉田さんワールド全開の本作品。謎とユーモアが混ざり、そして「温もり」が隠し味として足されているような、まさに大人のユーモア小説です。
曖昧でモヤモヤした世界に浸りたい人、超必見
白黒つけることが善しとされる日常では、決して味わうことのできない世界が、本の中では存在しています。
自分の思考がふんわりと宙に漂う快感を、是非とも体感してみてください。
有限であるからこそ、尊いもの
古き良きものには寿命があって、終わりがあるから美しいものなのかなぁと感じます。
昔は良かった、ではないですが、この本を読むと普段は見捨てられがちな「過去のもの」に心惹かれるようになります。
電球を切り口に、「命あるもの」の尊さがこの作品からは滲みでているように思えてなりません。
何でもない日常は、見方ひとつでこんなにも楽しくなる
最後は、平凡な毎日なのになぜかクスッと笑ってしまう、おもしろエッセイ集です。
悟りの境地の著者の目に映る、何でもない日常とは
好きなものは美女と野球くらい。
そんな著者の「底の浅い濁流のような毎日」を描いたエッセイ集です。日々の出来事をコミカルに、独特な切り口でユーモアたっぷりに書かれています。
下品なテーマも、著者の達観したような視点と文体で、シュールにまとまるのも不思議です。思わず次々とページをめくりたくなる、そんな1冊です。
最高の「暇つぶし」になる1冊
著者が遭遇した日々の面白いエピソード集で、短いエッセイの集まりなので、とても読みやすいです。
良い意味でのくだらなさが、ラフな読書につながります。
著者も言うように「読んだ瞬間に忘れても良い」というくらいの作品ですので(笑)、暇な時間に手に取りたい作品です。
切り口ひとつで、日常はこんなに楽しくなる
変哲のない出来事も、遊び心というか、見方を変えればこんなにも面白く切り取れるなんて。
自分の世界も視点を変えれば、もっと楽しくなるだろうなぁと、読んでいて思います。気持ちにゆとりがある自分でいたいなと思ってしまいます。
いくつになっても、良い意味で真面目になりすぎず、ボンクラで居られたら素敵ですね。
コラム執筆を終えて|頭のなかが、だいぶ愉快になりました
今回改めて、この3冊を立て続けに読んだので、脳がだいぶ愉快になったような気がします(笑)。
意味のある、有意義な……という思いから逸れていく時間も良いものだなぁと、改めて感じました。
みなさんも、良い読書時間を。